ミニマム機能の銭湯=現代の銭湯に必要な最低限の機能とは?
そのコンパクトな店舗面積ゆえに「限られた床面積を最大限に生かすこと」そしてそのためには機能デザインを「詰め込む」のではなく極力「引き算する」銭湯造りを志向すること。施主様との様々な議論の末にたどり着いたのは、付加価値付志向の価値観に逆行する方向性の選択でした。設計コンセプトは『素銭湯』としました。これは「現代の銭湯に必要とされる最小限の要素とは何か?」をあらためて再定義するコンセプトに通じるものといえるかもしれません。意匠デザインは当然ながら機能デザインに追随し、最小限の要素で構成しています。改修前の店舗イメージは基本的に一新され、引き継がれるべき要素が厳選されました。それら要素とは「視界が奥に繋がる空間構成・滝の湯船・故笠原五夫氏による富士山ペンキ絵と銅製看板」といったものです。落合松の湯のアイデンティティーを構成してきたこれら「引き継がれた要素」は『素銭湯』である空間の中で、より印象的なものとなったように感じます。