2020年7月、市民温泉浴場の移転に伴う寒河江市の事業企画コンペにおいて、日本経済研究所様と弊社のチームが選任され、本プロジェクトがスタートしました。
コンペウィナーとしてPFI事業としての企画立案に参画させていただいた後に、基本設計と監理アドバイザリーを担当させていただきました。
・コミュニティの象徴的な役割:地元の生活に馴染み、ふるさとの魅力の1つだと思われるような施設とする。
・市民ファーストの施設:旧市民浴場と同様「掛け流し温泉を市民生活の日常に低価格で提供」することを第一に考慮した事業構築・建築計画とする。
・環境に馴染む建築:自然豊かな周辺環境に配慮し、景観に馴染むよう高さを抑え水平方向に広がる建築とする。
施設に求めらた、これら要件を統合する設計コンセプトは「市民の大湯」とされました。
建築空間の特徴は、浴室の外部をぐるりと囲む深い軒と、その軒下の縁側がある、地を這うような佇まいの建築形態。
大湯=「地域の象徴としての存在感を保ち」つつも、環境に馴染み「抑圧感を感じさせない」建物のあり方の両立を模索した結果採用された空間形式です。
特徴的な深い軒下空間は、浴場部分においては外気浴が楽しめる縁側=「リラクセーション空間」となり、ロビー休憩室側においては市民マルシェなどを開催するイベントスペース=「交流空間」として活用されます。
建築学的には内外の「中間領域」として語られることの多い木造建築の縁側は、温浴空間との相性もバッチリです。
(*)「PFI(Private Finance Initiativeとは:
– プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法です。
– 民間の資金、経営能力、技術的能力を活用することにより、国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供できる事業について、PFI手法で実施します。
– PFIの導入により、国や地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供を目指します。