10 STORIES STAY UONUMA
〜天・光と闇・景色・蒸気に抱かれ、ひとつになる〜
本プロジェクト「10 STORIES STAY UONUMA」は、新潟県魚沼市の豊かな自然に囲まれた複合施設(ゲストハウス+自遊人本社オフィス+温浴施設)のリノベーション案件です。弊社は温泉棟の設計を担当させていただきました。温泉棟は男女合わせて約300㎡の空間(機械室等バックヤード除く)で、オートロウリュサウナ室、スチームサウナ室、水風呂2つ、源泉掛け流し温泉、洗い場、ととのいエリア、そして露天風呂という構成により、サウナを楽しむための機能を基本軸に据えたレイアウトとになっています。
私がはじめてこの計画地を訪れた時、広い空のもと四方を山に囲まれたその風景にやさしく「抱(いだ)かれる」かのような感覚が印象的でした。人は何かに同一化するような、抱かれる感覚を覚えた時、体の内側奥深くからから安心感や癒しを感じます。本プロジェクトでは豊かな周辺の環境要素を湯空間に取り込むことで、抱かれるような感覚を紡ぎ出し、心身の癒しを深めることができるような空間設計を目指すこととしました。設定したデザインコンセプトは「抱かれる湯空間」です。施設内の各パート毎に「天」「光と闇」「景色」「蒸気」といった自然要素を空間の構成素材として取り込み、一体的にデザインすることにより抱かれる感覚が醸成されることを意図しています。
<露天風呂>は「天」に抱かれる場所です。目隠し塀によって切り取られた空が、その場に訪れた人々を包み込みます。昼間には青空や流れる雲を、夜には満天の星空を眺めながら、天空との一体感を体験できます。
<浴室空間>では「光と闇」に抱かれる感覚を楽しみます。昼間は太陽の直接光による光と影そして反射光を浴び、夜には落ち着いた照明の中で闇に溶け込むようなデザインとしました。開口部に設けられた木格子は「光と影」の対比と変化を強調し、光を空間素材化させるためのしかけ的要素と言えます。
<サウナ室>では「風景」との一体化を目指しました。構造検討を経て、新たに設定された開口部から外の風景が広がり、屋内にいながらも視覚的に風景とつながります。視覚的な広がりはサウニング体験をより豊かにし、解放感とともに心身のリフレッシュを促します。
<スチームサウナ室>は「蒸気」に抱かれる空間です。低照度の幻想的な光に浮かび上がる蒸気の中で、霧のような蒸気に抱かれ「蒸気」を通じて、自己の深い意識とつながる感覚となるような空間をイメージしました。
- 工事名称
- 10 stories stay uonuma 内装工事
- 発注者名
- 株式会社自遊人
- 工事場所
- 新潟県魚沼市樺野沢350-1
- 主要用途
- 宿泊施設/公衆浴場
- 敷地面積
- 6,351.0 m2
- 建築面積
- 1,058. 86 m2(宿泊棟を含む)
- 改修面積
- 310.03 m2(機械室面積を除く、渡り廊下を含む)
- 構造規模
- RC+S造地上2階建ての2階部分(渡り廊下を含む)
- 設計期間
- 2023年2月~2023年9月
- 工事期間
- 2023年11月~2024年7月
- 施工会社
- 高橋建設株式会社(担当:井澤忠勝)
有限会社大生工業(担当:阿部修)
富山電気株式会社(担当:関戸隆) - 設計監理
- 株式会社今井健太郎建築設計事務所
(担当:今井健太郎、下谷よしえ) - 写真撮影
- 鈴木賢一写真事務所