東京でも有数の繁華街、新大久保に立地する万年湯。メインストリートである大久保通りに路地で繋がる敷地と立地環境の関係性は、ある種の魅力的な特性を備えていました。この立地特性を見た時から「都会の隠れ湯」という設計コンセプトが導き出されるのには時間がかかりませんでした。さて、「隠れ湯」とは、戦国時代に武将が戦で疲れを癒すために造った秘密の温泉場のことを言います。万年湯においてはこの隠れ湯を、都会生活で疲れた心身をゆっくり休めることができるような静けさや趣きを合わせ持つ、秘湯のような空間としてデザインコンセプトに導入しました。都会の生活の中で奮闘する私たちは、多くのストレスを抱えています。そんな私たちを現代の侍になぞらえたとすると、癒しの隠れ湯たる銭湯は、あらためて都会の必須アイテムなのだと感じます。