S-ANNEX
S-ANNEX
思考し、整え、アウトプットする空間
近年、執務空間とワークスタイルは劇的な変化を遂げています。その背景にはインターネット環境の進化とリモートワークの普及、コロナ禍によるライフスタイルの変革、そして働き方改革などの影響があります。これらの変化は執務空間のデザインにも深く影響を与え、これまでのオフィスの概念を根本から見直す必要性を突きつけました。
かつてのオフィスは社員が一定の時間に集まり、決まった場所で作業を行う場所でした。しかし、Wi-Fiやクラウドサービスの普及によりカフェ、自宅、さらには旅先でも仕事が可能になり、オフィス空間は柔軟で流動的なものへと変化していきます。もはやすべての社員が同じ場所に集まる必要はなく、対面のコミュニケーションが減少した結果、オフィスは「集中する場所」から「交流する場所」へと機能が再定義される面があり、これまで以上に「居心地の良さ」が求められる空間へと変化しています。
本プロジェクトは、このような近年の「ワークスペースに対する視座の変化」が如実に反映された設計デザインとなりました。一見、住宅のリビングかのように見えるこの空間にはデスクやオフィスチェアが並ぶわけでもなく、固定的なミーティングスペースすらありません。その一方でウェルビーイング=「リフレッシュやリラクゼーション」を考慮した空間設計を重要視し、サウナが組み込まれています。サウナは、肉体的なリフレッシュだけでなく、精神的なリラクゼーションも提供し、「結果的に仕事の生産性向上に寄与する」いわゆるオフィス空間にとっては、これまで対極的な機能とすら考えられていた新しい要素です。
今後、さらなる社会構造の変化が予想される中で、執務空間のあり方も変化を続けることになると予想します。リモートワークが定着する一方で、対面の交流やチームビルディングの重要性が再評価されている現実も垣間見られるようになりました。いずれにしろ未来のオフィスは、単に仕事をする場所ではなく、コミュニケーションとリラクゼーションが融合した多機能な空間へと進化していくのではないでしょうか?そしてサウナのみならず、リラクセーション機能を含めた設計デザインは今後の執務空間のデザインにおいて、ますます重要な役割を果たすのではないかと考えます。
- 工事名称
- S-ANNEX改修工事
- 発注者名
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- 工事場所
- 東京都23区内
- 主要用途
- ミーティングルーム/サウナ
- 改修面積
- 95 m2(機械室、階段室を含む)
- 構造規模
- RC+S造地上2階建ての2階部分
- 設計期間
- 2024年3月~2024年5月
- 工事期間
- 2024年7月~2024年9月
- 施工会社
- 株式会社建.LABO
株式会社AVANT
株式会社ダイレオ - 設計監理
- 株式会社今井健太郎建築設計事務所
(担当:今井健太郎、高橋向生) - 写真撮影
- 鈴木賢一写真事務所